2005年12月04日
西洋法制史料選 1 古代 (1)
西洋法制史料選 1 古代 (1)創文社 (2004-03)
¥ 6,825
ISBN:978-4423740378
古代ローマの法に関する一次史料を和訳し、原文と解説もつけたもの。
ローマの法だけでなく政治的な動きについても大いに参考になる史料がまとまっていてありがたい。内容は以下の通り。
1. 王法
2. 十二表法
3. パトリキとプレーブスの身分闘争に関する史料
4. 共和政務官表
5. 不法徴収返還請求に関するアキーリウス法
6. 土地法(前111年)
7. 神皇アウグストゥス業績録
8. ウェスパシアーヌスの命令権に関する法律
9. 属州行政に関するプリーニウスの書簡
10. 永久告知録
11. ガーイウス 法学提要
12. アクィーリウス法とそれをめぐる法学説の展開
13. 引用法(426年)
14. テオドシウス法典
15. ローマ法大全
特に興味深いのは「パトリキとプレーブスの身分闘争に関する史料」の部分。権力闘争の結果が法律に現れてくるところなどがローマ人らしくて面白い。
投稿者 augustus : 2005/12/04 12:10 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年11月27日
ローマ史のなかのクリスマス―異教世界とキリスト教〈1〉
ローマ史のなかのクリスマス―異教世界とキリスト教〈1〉保坂 高殿(著)
教文館 (2005-10)
¥ 2,625
ISBN:978-4764265875
本書はクリスマスの起源を明らかにすることを目指して書かれている。クリスマスは4世紀初頭に不敗の太陽神の祝祭から借用されたものという説明が以前から為されてきていたが、それだけだと、なぜ4世紀初頭になって初めてクリスマスがキリスト教会に導入されたのかが不自然である。本書はそういう問題も含めてなるべく多くの資料を引用しながらわかりやすく説明してくれる。
古代ローマの多くのキリスト教徒は、キリスト教に改宗した後もそれまでの多神教的生き方を変えたわけではなかった。現世的利益を願って異教の神を拝し、異教の祝祭に喜んで参加する人たちであった。異教の祝祭へ行って教会へ来なくなる多くの信徒をどうするかが教会指導者には大問題であり、その解決策として渋々導入されたのがクリスマスをはじめとするキリスト教の祝祭であったらしい。
クリスマスは当時盛んだった太陽神の祝祭から信徒を取り戻すためものであった。だから太陽が復活する冬至の頃に行われる。信徒にもキリストを「真の太陽」とか「新しい太陽」と説明して、異教的祝祭からキリスト教的祝祭へと導いたのであった。
こういう説明はきっぱりと異教に決別した信仰心篤いキリスト教徒をイメージすると大きな違和感があるが、多神教的枠組みの中に生きておりなおかつ普段はそれすらも意識しない我々多くの日本人には納得しやすいもののように思う。当時のローマ帝国のキリスト教徒もきっとよく似た感じ方をする人たちだったのだろう。
投稿者 augustus : 2005/11/27 12:40 | コメント (0) | トラックバック (1)
2005年11月23日
ガーイウス法学提要
ガーイウス法学提要佐藤 篤士(翻訳), 早稲田大学ローマ法研究会(翻訳)
敬文堂 (2004-09)
¥ 5,775
ISBN:978-4767001029
ユスティニアヌスの「ローマ法大全」に採り入れられ、後の世のローマ法に多大な影響を残した「法学提要」の邦訳。
著者のガイウスは2世紀頃の法学教師だったらしい。「法学提要」は生徒に法律を教える教科書として書かれたもののようである。だから、比較的分かりやすく、分量もそう多くないから読みやすい。
もともとは単なる教科書だから法源としての力はなかったのだが、5世紀にはテオドシウス2世とウァレンティニアヌス3世の勅法によって、ガイウスなど5人の法律家の意見が法律同様の効果を持つようになった。
そして6世紀、ユスティニアヌス帝の命令でローマ法大全が作られたが、法学提要にはガイウスの内容も含まれ、彼の名は不朽のものとなった。
中身は法を人、物、訴訟についてのものに分類して扱っている。読んでみると法律を巧みに運用していたローマ人の姿が想像され興味深い。
投稿者 augustus : 2005/11/23 17:17 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年10月10日
レトリック式作文練習法―古代ローマの少年はどのようにして文章の書き方を学んだか
レトリック式作文練習法―古代ローマの少年はどのようにして文章の書き方を学んだか香西 秀信(著), 中嶋 香緒里(著)
明治図書出版 (2004-11)
¥ 2,415
ISBN:978-4185224161
ヨーロッパで17世紀頃まで行われていたプロギュムナスマタ(予備練習)と呼ばれたレトリックの訓練方法を現代に利用可能なように再構成したもの。
ローマの上流階級の子供たちが学ばなければならない重要な学問がレトリック(弁論術、修辞学)である。4世紀末のアフトニウスによると、プロギュムナスマタは寓話、物語、逸話、格言、反論、立論、共通論拠、賞賛、非難、比較、性格表現、描写、一般論題、立法弁論という風に段階に分けて、少しずつ訓練されていく。この本では古代、中世に行われていたものを縮小して再構成することが試みられている。したがって、必ずしも古代の子供たちの勉強方法のままとは言えないわけだが、その雰囲気は味わうことができて興味深い。
真面目に練習すれば説得力も増しそうである。
投稿者 augustus : 2005/10/10 16:47 | コメント (0) | トラックバック (0)
2005年10月02日
イソップ風寓話集
イソップ風寓話集パエドルス(著), バブリオス(著)
国文社 (1998-01)
¥ 4,515
ISBN:978-4772004046
イソップの名は誰もが知っており、「寓話におけるホメロス」とも称せられている。紀元前6世紀頃のトラキア出身の奴隷で、後に解放されたとされるが、彼の生涯の詳しいことは不明である。
本書はパエドルスとバブリオスがイソップの寓話と自分の創作を詩の形で刊行したものである。パエドルスはアウグストゥスの奴隷だったが解放され、アウグストゥスやティベリウスの家で家庭教師をしていたらしい。バブリオスがいつの人なのかは難しい問題のようだが、1世紀末には彼の寓話詩集が完成していたらしい。
いずれも単に教訓を与えようとするのではなく、読者を楽しませようとする作品である。もちろん現代の読者が読んでも楽しい作品になっている。「きつねと葡萄」などのおなじみの寓話も多数収録されている。
パエドルスの寓話の中にはティベリウスの親衛隊長であったセイヤヌスを批判したらしいものもあるそうで、興味深い。
投稿者 augustus : 2005/10/02 19:30 | コメント (0) | トラックバック (0)
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