事典 古代の発明―文化・生活・技術
事典 古代の発明―文化・生活・技術ピーター ジェームズ(著), ニック ソープ(著), Peter James(原著), Nick Thorpe(原著), 矢島 文夫(翻訳)
東洋書林 (2005-12)
¥ 5,040
ISBN:978-4887217102
ローマに限らずに古代の人の発明に関するトピックを興味深く説明している本。医学、輸送、軍事技術など独立した12の章から成っており、関心のある分野だけ読んでも面白い。
白内障の手術、開頭手術、自動販売機、古代の機関銃、毒ガス兵器など、現代人が見ても驚くほどの高度な技術が古代にもあったことが良くわかる。白内障の手術は針で眼を突き刺し、水晶体を移動させることにより視力を回復していたらしい。開頭手術など無謀極まりないような気がするが、手術後十分に長生きして頭蓋骨の骨組織が再生しているものが発見されているそうだ。
また、魚の養殖や下水道、トイレ、風呂など生活に密着した技術の話もわかりやすく、楽しく読める。
以下に、章の名前だけ挙げておく。 第1章 医学, 第2章 輸送, 第3章 ハイテク, 第4章 軍事技術, 第5章 コミュニケーション, 第6章 生産活動, 第7章 ファッション, 第8章 食物・嗜好品・薬, 第9章 住居と家庭, 第10章 セックス・ライフ, 第11章 都市生活, 第12章 エンターテインメント,
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古代のエンジニアリング―ギリシャ・ローマ時代の技術と文化
古代のエンジニアリング―ギリシャ・ローマ時代の技術と文化J.G. ランデルズ(著), 宮城 孝仁(翻訳)
地人書館 (1995-11)
¥ 3,150
ISBN:978-4805205006
古代ギリシャ、ローマの技術に工学的見地から光を当てようとする著作。著者は古典学の学者だが、執筆にあたって工学や考古学の専門家の協力を得ている。古代の著作に書いてあることや考古学的発見の紹介にとどまらず、内容を工学的に検証しているところが大変興味深い。訳者、監訳者はいずれも工学畑の人で、工学的に正しい用語、内容表現を心がけたとのことである。
内容は
第1章 動力とエネルギー源
第2章 水の供給と処理
第3章 揚水機(ポンプ)
第4章 クレーンとウィンチ
第5章 カタパルト
第6章 船と海上輸送
第7章 陸上輸送
第8章 理論的知識の進歩
第9章 技術に関するギリシャ・ローマの主要な著述家
各章ともそれぞれ興味深いテーマを扱っているが、最も面白く感じたのが第6章である。軍船として帆船よりガレー船が扱いやすかった理由や、ガレー船の速度の推測などが興味深い。ガレー船は意外に速くて、現代のレース用8人乗りボートと同じくらいのスピードが出るのだそうだ。
投稿者 augustus : 21:18 | コメント (0) | トラックバック
私のプリニウス
私のプリニウス澁澤 龍彦(著)
河出書房新社 (1996-09)
¥ 612
ISBN:978-4309404837
古代ローマの大博物学者プリニウスが残した大著「博物誌」について、雑誌「ユリイカ」に連載した記事をまとめたもの。
現代から見るとプリニウスの書いたことにはほとんどでたらめと言って良いものも多いのだが、古代の人が天文・地理、動植物、鉱物、薬物、人間文化についてどんなことを知っていたのかが分かって非常に興味深い。(例えば、「雷は雲と雲の摩擦によって生ずる」などという記述には驚かされる。)
「博物誌」の全和訳も出版されているので、さらに興味を持った人は入手を検討すると良い。
プリニウスの博物誌 全3巻