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ローマ五賢帝―「輝ける世紀」の虚像と実像
ローマ五賢帝―「輝ける世紀」の虚像と実像南川 高志(著)
講談社 (1998-01)
¥ 756
ISBN:978-4061493896
教科書的には五賢帝と言えば、「優れた皇帝が元老院議員の中から最も優れた者を養子にして 後継者としたため、英明な皇帝が続いた時代。人類が最も幸福だった時代。」 ということになっている。しかし、実態はそんな綺麗ごとですまされるようなものではなかった。
ドミティアヌス暗殺後に即位した五賢帝一人目のネルウァはドミティアヌス派と 反ドミティアヌス派の政争の中で権力基盤が不安定であった。
トラヤヌスを養子にしたのは、軍事力をもった有力者を後継者として自己の権力を 安定させようとしたものだが、実はトラヤヌスに匹敵する有力候補が他に居て、 厳しい権力闘争が行なわれていたらしい。
こういう五賢帝時代の陰の部分を炙り出して見せてくれるのが本書である。
トラヤヌス以降の各皇帝の時代についても資料をもとに綺麗ごとでない五賢帝時代の実像をわかりやすく描いている。新しい研究成果も含まれており、歴史の面白さを実感させてくれる良書だと思う。
投稿者 augustus : 2006年09月18日 11:08
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