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共和政ローマとトリブス制―拡大する市民団の編成
共和政ローマとトリブス制―拡大する市民団の編成砂田 徹(著)
北海道大学出版会 (2006-03)
¥ 9,975
ISBN:978-4832965614
トリブスというのは簡単に言ってしまえば共和政ローマの民会における投票単位であるのだが、その他にも戸口調査や徴兵などの単位でもあり、『古代ローマ人にとってその社会生活・政治生活の基本単位』であったようだ。有力者たちは地盤となるトリブスの拡大に努めたり、身分闘争の時代にはトリブスを通じて平民の説得にあたったりもしたらしい。
この本はトリブスについて詳しく論じたもので、こういうものが日本語で読めるのは実にありがたいことである。個人的には第3章と第4章が特に興味深く読めた。ローマの民会の仕組み等を知らない人には理解が困難な内容だが、各章の表題を見て面白そうだと感じる人は手にとってみると良いだろう。
序章 課題と研究史
第1章 ローマ市民団の拡大とトリブス
第2章 初期トリブスの内部構造―「身分闘争」との関連で
第3章 共和政中期における有力政治家のトリブス操作
第4章 共和政末期の選挙不正とトリブス
第5章 審判人とトリブス―トリブニ・アエラリィの再検討を中心に
第6章 都市トリブス再考―「トリブスから移す」とは何か
第7章 都市トリブスとローマ市民団の周縁―解放奴隷・役者・非嫡出子
終章 帝政期におけるトリブスの変質
投稿者 augustus : 2006年07月11日 21:12