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キリスト教の興隆とローマ帝国
キリスト教の興隆とローマ帝国豊田 浩志(著)
南窓社 (1994-02)
¥ 8,155
ISBN:978-4816501302
3世紀後半のキリスト教勢力のローマ帝国支配階層への進出過程を論じたもの。
第1章、第2章は支配階級でのキリスト教徒の進出状況が論じられている。属州総督や元老院議員の階層ではキリスト教徒はあまり多くなかったようだ。元老院階級に次ぐ支配階級である騎士身分のキリスト教徒もそう多くはないが帝国東半分で増加していたらしい。また、第1章は3世紀後半が帝国支配に騎士身分が重用された時代であったことを教えてくれる。
第3章はとても興味深い。皇帝フィリップス・アラブスがキリスト教徒であったという説を紹介し、その当否を検討している。
第4章、第5章はウァレリアヌスとその子ガリエヌスの対キリスト教政策を論じている。両者の政策は一見対照的だが帝国東部の支配権確保という見方をするとわかりやすいらしい。
「目から鱗」という感じがするところや、「え。そんなことがあったの。」とびっくりしながらも面白く読めるところが多くあった。
特に第3章に少しだけ書かれているゴルディアヌス3世戦病死説がとても興味深い。普通、ゴルディアヌス3世は次の皇帝フィリップス・アラブスに無慈悲に殺されたとされているが、実はペルシャ軍との戦争で負った傷がもとでの戦病死なのだそうだ。詳しくは著者の別論文に書いてあるそうなので、いずれ読んでみたいと思っている。
目次
序章 「大迫害」直前のローマ帝国とキリスト教
第1章 帝国支配身分とキリスト教
第2章 紀元三、四世紀におけるキリスト教と帝国支配身分
第3章キリスト教皇帝フィッリップス・アラプス
第4章 皇帝ウァレリアヌスとキリスト教迫害
第5章 皇帝ガッリエヌスとキリスト教公認勅答令
終章 「キリスト教ローマ帝国」への道
投稿者 augustus : 2006年03月12日 08:43
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コメント
「キリスト教の興隆とローマ帝国」を書店で注文したら「品切れ」とのことでした。近所には図書館が無いので困っております。どこかで入手できないでしょうか?
投稿者 宝田恵一 : 2006年04月13日 14:20
http://www.kosho.or.jp/index.html
こちらで検索すると一冊在庫があるようです。
投稿者 augustus : 2006年07月11日 02:35