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ローマ人の物語(17),(18) 悪名高き皇帝たち[一],[二]
ローマ人の物語 (17) 悪名高き皇帝たち[一]塩野 七生(著)
新潮社 (2005-08)
¥ 460
ISBN:978-4101181677
ローマ人の物語 (18) 悪名高き皇帝たち[二]
塩野 七生(著)
新潮社 (2005-08)
¥ 420
ISBN:978-4101181684
[一」と[二]の前半は第二代皇帝ティベリウスを扱っている。
ティベリウスは偽善的、陰気だと言われ、タキトゥスやスエトニウスが書き残した元老院との確執、晩年の性的スキャンダルもあり、評判が良いとは言えない。しかし、著者はティベリウスを本音で生きようとした「冷徹なプロフェッショナル」として好意的に描く。アウグストゥスが築いたローマ皇帝という地位を確固たるものにしてリレーした地味だけど有能な皇帝がティベリウスだと言うのには賛成だ。
[二]の後半は古来から狂気の皇帝と言われるカリグラだ。スキャンダルに事欠かない皇帝だが、著者は彼をモンスターでもなく頭も悪くなかったと評する。愛馬を執政官にしようとした有名なエピソードも著者によれば元老院を馬鹿にしたちょっとした冗談だったとされる。実際どうなのかはわからないが面白い見方であることは間違いない。
「ローマ人の物語」は歴史小説と歴史の解説の中間的なものを狙っているように思う。読んでいて面白く、記述も詳しいが、基本的には小説であり、内容は他の資料にもあたってチェックする必要があるだろう。
投稿者 augustus : 2005年09月19日 07:34
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