« 古代のエンジニアリング―ギリシャ・ローマ時代の技術と文化 | メイン | グラディエイター―古代ローマ剣闘士の世界 »
戦争で読む「ローマ帝国史」 建国から滅亡に至る63の戦い
戦争で読む「ローマ帝国史」 建国から滅亡に至る63の戦い柘植 久慶(著)
PHP研究所 (2005-07-01)
¥ 580
ISBN:978-4569664170
ローマ帝国の歴史を戦争を通じて読みとろうとする本。
確かに、ローマの歴史は戦争の連続であり、ローマの歴史を戦争を通じて読みとろうというのは面白いテーマであろう。しかし、一方で歴史は戦争だけで動くわけではないので、この本でローマの歴史を知ろうというのは無理である。この本を読むなら、ローマの戦争の物語を気楽に読むという姿勢が良いと思われる。
また、残念ながら内容の誤りがあちらこちらに見られる。
例えば、ローマ市民をその資産によって第1階級、第2階級などの階級に分けそれぞれの階級毎に武装を定めた話をタルクィニウス・プリスクス王に帰している。おまけに、このタルクィニウス王は息子の不祥事で追放されて王政が終わったなどという大間違いが書かれているのだから、他の部分の記述も正しいのかどうか心配になってしまう。
また、ローマを戦争を通して見る本が、ポエニ戦争で「ローマの盾」ファビウスについて何一つ記述しないというのは、いかがなものだろう。第2次ポエニ戦争のローマの勝利には、ファビウスの働きが大きく貢献していると思うのだが。
他にもいろいろあるので、史実を知りたい人には、この本の内容を鵜呑みにせず、他の本と照らし合わせることを強くお勧めしたい。
表紙のアウグストゥス像だが、なんと左右裏返しになっているようだ。
投稿者 augustus : 2005年07月23日 17:34
トラックバック
このエントリーのトラックバックURL:
http://www.augustus.to/cgi-bin/blog/mt-tb.cgi/93