2005年06月30日
プリニウス書簡集―ローマ帝国一貴紳の生活と信条
プリニウス書簡集―ローマ帝国一貴紳の生活と信条国原 吉之助(著)
講談社 (1999-03)
¥ 1,418
ISBN:978-4061593671
ドミティアヌス帝からトラヤヌス帝の頃に活躍した元老院議員プリニウスが残した書簡集。
内容は公的な仕事に関するものから、私的生活に関するものまで様々で、家族を思いやる様子や友人との交流などもわかり興味深い。
管理人augustusが特に興味を持ったのはトラヤヌス帝との往復書簡。この頃、プリニウスはビチュニア属州の総督として赴任していた。属州統治に関しての皇帝への問い合わせと回答を読むと、ローマ帝国の支配の仕組みが見えてくるようで大変面白い。
例えば、トラヤヌス帝の時代もキリスト教は禁止されていた。しかし、告発されても本人が皇帝像を拝みキリスト教徒でないことを示せば放免された。また、匿名の告発は受け付けず、わざわざ信者を捜して罰するようなことも行われていなかったのだ。
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2005年06月28日
食卓歓談集
食卓歓談集プルタルコス(著), 柳沼 重剛(翻訳)
岩波書店 (1987-10)
¥ 693
ISBN:978-4003366431
対比列伝で有名なプルタルコスが宴席での楽しい会話を記録したもの。(あるいはそういう形式で書いたもの。)
取り上げられるテーマは気楽で興味深いものが多い。 例えば、「鶏と卵ではどちらが先か」、「なぜ塩は神聖だと考えられるのか」、「酒席で哲学談義をしてもよいか。」等々、どこから読んでも楽しめるだろう。
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2005年06月27日
年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ
年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ〈上〉C. タキトゥス(著), Cornelius Tacitus(原著), 国原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1981-01)
¥ 987
ISBN:978-4003340820
年代記―ティベリウス帝からネロ帝へ〈下〉
C. タキトゥス(著), Cornelius Tacitus(原著), 国原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1981-01)
¥ 945
ISBN:978-4003340837
ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロの4皇帝の時代の出来事を年代順に綴っている。表現は劇的で、陰謀渦巻く時代を生き抜いた人々を生き生きと描き出している。 スエトニウスと違い、ゴシップを無批判に書いたりはしないので記述の信頼性が高く、この時代の第1級の史料である。
著者のタキトゥスは1世紀半ばに生まれ、1世紀おわり頃には執政官の地位に登り詰める。年代記は2世紀の始め頃に書かれている。
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2005年06月26日
ローマ皇帝伝
ローマ皇帝伝 上スエトニウス(著), 國原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1986-08)
¥ 840
ISBN:978-4003344019
ローマ皇帝伝 下
スエトニウス(著), 國原 吉之助(翻訳)
岩波書店 (1986-09)
¥ 987
ISBN:978-4003344026
騎士階級出身のスエトニウスの2世紀初め頃の著作。
原題は De Vita Caesarum Libri VIII (カエサルたちの伝記八巻)で、共和政最後の英雄ユリウス・カエサルと、帝政を始めたアウグストゥス、そしてその後の10人の皇帝ティベリウス、カリグラ、クラウディウス、ネロ、ガルバ、オト、ウィテリウス、ウェスパシアヌス、ティトス、ドミティアヌスの合計12人のカエサルたちを扱っている。ユリウス・カエサルからネロまではカエサルは家名だが、彼らと家系上のつながりの無いガルバ以降の皇帝もカエサルを名乗ったので、カエサルは皇帝の称号の一つに変化したと考えられる。だから、「カエサルたちの伝記」を「ローマ皇帝伝」と訳したのも納得できる。
内容は皇帝が個人的に関わった様々なことで、ゴシップや迷信深い記述も多く、タキトゥスに比べて信頼度は低いかもしれない。しかし、迷信深さも当時の人の気持ちを知る手がかりになるし、ゴシップもそういう話を人々が信ずるような背景があることを示す貴重な資料である。
"Twelve Caesars" という言い方を良く見かけるが、スエトニウスが皇帝伝で扱った12人のことを指している。 余計なお世話だが岩波文庫はしばしば品切れになる。お持ちでない方は早めに入手することをお勧めする。
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2005年06月24日
私のプリニウス
私のプリニウス澁澤 龍彦(著)
河出書房新社 (1996-09)
¥ 612
ISBN:978-4309404837
古代ローマの大博物学者プリニウスが残した大著「博物誌」について、雑誌「ユリイカ」に連載した記事をまとめたもの。
現代から見るとプリニウスの書いたことにはほとんどでたらめと言って良いものも多いのだが、古代の人が天文・地理、動植物、鉱物、薬物、人間文化についてどんなことを知っていたのかが分かって非常に興味深い。(例えば、「雷は雲と雲の摩擦によって生ずる」などという記述には驚かされる。)
「博物誌」の全和訳も出版されているので、さらに興味を持った人は入手を検討すると良い。
プリニウスの博物誌 全3巻
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2005年06月23日
羅和辞典
羅和辞典田中 秀央
研究社 (1966-10)
¥ 4,935
ISBN:978-4767490243
古代ローマで使われていた言語がラテン語だ。ローマ史ファンなら、ときどきラテン語の単語を調べたいことが出てくるので、手元に羅和辞典が一冊あると便利である。
英語が得意な人なら Latin-English Dictionary の方が良いかもしれない。もっと安いものがたくさん出版されているのだ。
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2005年06月22日
アグリッピーナ物語
アグリッピーナ物語弓削 達(著)
河出書房新社 (1985-03)
¥ 378 (1990年再版のものは420円)
ISBN:978-4309401102
ネロの母である小アグリッピーナの人生を描いた一冊。
夫クラウディウス帝を毒殺し、母子相姦を迫ってネロをコントロールしようとしたアグリッピーナは古くから稀代の悪女とされてきたが、弓削氏は同情的に彼女を描く。 彼女の人格形成に大きく影響したであろうティベリウス時代からの宮廷内のいろいろな陰謀についてもかなりのページを割いており参考になる。
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2005年06月21日
グラディエーター (DVD)
グラディエーターリドリー・スコット(監督), ラッセル・クロウ, ホアキン・フェニックス, コニー・ニールセン, オリバー・リード,
DVD (2005/04/08) ¥1,565
ユニバーサル・ピクチャーズ・ジャパン
ローマ軍の尊敬を一身に集めるマキシマス将軍が、奴隷の身に落とされ、妻子を殺されて、生きる意欲を失っていく。惰性のまま闘技場で戦っていくが、いつか復讐を目指し真剣な戦いをはじめる。
見所としては、冒頭の戦闘シーンは迫力満点で、まず見るものの心を引きつけてしまう。個人的には闘技場での戦車弓兵部隊との戦いがスリル満点で素晴らしいと思う。敵役のコンモドゥスを演じたホアキン・フェニックスも良い味を出している。
素晴らしい映画だが、史実ではコンモドゥスは父帝を殺していないし、円形闘技場で死んだわけでもない。マキシマス将軍も実在のモデルはいない。と、いうわけで、史実と混同することなく、フィクションとして楽しんで貰いたい映画だ。
第73回アカデミー賞で5部門受賞。
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2005年06月20日
共和政ローマの寡頭政治体制―ノビリタス支配の研究
共和政ローマの寡頭政治体制―ノビリタス支配の研究安井 萠(著)
ミネルヴァ書房 (2005-03)
¥ 7,140
ISBN:978-4623042661
共和政ローマでのノビリタス支配がどのようにして成立し崩壊したのかを論考している。
管理人augustusが特に興味を持ったのは第2章と第3章で、共和政ローマでの政務官の選挙のメカニズムを取り扱っている。以前はクリエンテスがパトロネスのために投票したので、多くのクリエンテスを持つ者が当選したように思っていたのだが、そんな単純なものではないことがわかる。また、クアエストルからはじまる政務官の序列も最初から固定されていたわけではないことも教えてくれる。
第4章の最後の方では共和政ローマで貨幣が担った宣伝効果についても書かれており、ローマコインファンとしては嬉しい。(ちなみにコインについては Roman Republic Coinage を主に参照しているようだが、この本はかなり高価なのだ。)
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2005年06月19日
コインの考古学―古代を解き明かす
コインの考古学―古代を解き明かすAndrew Burnett(著), 新井 佑造(翻訳), 小山 修三(監修)
学芸書林 (1998-09)
¥ 1,890
ISBN:978-4875170457
ローマコインに限った本ではないのだが、全てのローマコインファンにお薦めしたい本である。
古代コインに興味を持つと、「どうやって年代を調べるのだろうか?」とか、「どのように作っていたのだろうか?」など、様々な疑問が出てくる。ローマコインの日本語の解説書というものはないのだが、この本はローマコインも含めて古代から中世のコインを調べることでどういうことがわかるかを教えてくれる。結論だけでなく、方法論も面白い。
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西洋古代史料集
西洋古代史料集古山 正人(翻訳), 田村 孝(翻訳), 本村 凌二(翻訳), 中村 純(翻訳), 毛利 晶(翻訳), 後藤 篤子(翻訳)
東京大学出版会 (2002-04)
¥ 2,730
ISBN:978-4130220187
一次史料を読むのは大切なことだけど、どんなものがあるのか探すのも大変、和訳されていなければ読むのも大変。
この本はギリシャ、ローマ時代の様子を知るのに役立つ様々な一次史料のうち、おいしい部分を和訳している本。コンパクトにまとまっており、一般のローマ史愛好者や高校生にもお薦めできる。
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古代ローマ人名事典
古代ローマ人名事典ダイアナ バウダー(編集), 小田 謙爾(翻訳), 荻原 英二(翻訳), 兼利 琢也(翻訳), 長谷川 岳男(翻訳)
原書房 (1994-07)
¥12,600
ISBN:978-4562026050
王政時代の伝説上の人物も含めて、古代ローマ1200年間の人物に関する情報が一冊にまとまった事典。非常に便利。
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ローマ帝国の神々―光はオリエントより
ローマ帝国の神々―光はオリエントより小川 英雄(著)
中央公論新社 (2003-10)
¥780+税
ISBN:978-4121017178
ローマで大流行した東方からの宗教について取り扱った本。
どんな宗教がローマに入っていったのか。 なぜ、東方からの新しい宗教が人気を得たのか。
そんな疑問に答えてくれる一冊。初期のキリスト教についても取り扱っている。
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Roman Coins and Their Values
Roman Coins and Their Values vol.1David Sear(著)
Spink & Son Ltd (2000-06-30)
£45.00
ISBN:978-1902040356
Roman Coins and Their Values vol.2
David Sear(著)
Spink & Son Ltd (2002-06-06)
£65.00
ISBN:978-1902040455
Roman Coins and Their Values vol.3
David Sear(著)
Spink & Son Ltd (2005年発行)
£42.75
ISBN:978-1902040691
第1巻は共和政からフラウィウス朝まで、第2巻は五賢帝からセウェルス朝まで、第3巻はマクシミヌス・トラクスからカリヌスまでのコインを扱っている。 発行された主なコインを年代順、材質順に整理したもので写真も多く、眺めているだけで楽しい。コインの大体の評価額も載っているのでローマコインを収集する人にはとても役に立つ。
現在入手できるローマコインの本の中で、この本は最もコストパフォーマンスが良いと思う。次に出る第4巻で完結の予定で、その刊行が待ち遠しい。